チームと個人のタスクをまとめて管理:デジタルツールを活用したToDo統合手順
はじめに
日々の業務において、自身の個人的なタスクに加え、チーム全体の進捗やメンバーへの依頼事項など、把握すべきタスクは多岐にわたります。これらのタスク情報が様々な場所に分散していると、全体像が見えにくくなり、何を優先すべきか判断に迷うことがあります。特に、会議や予期せぬ割り込みによってタスクが発生したり、進行中のタスクが中断されたりする状況では、複数の情報源からのタスクをいかに効率的に自身のToDoリストに統合し、管理するかが生産性維持の鍵となります。
この記事では、チームのタスクとご自身の個人タスクを統合的に管理するための具体的な手順と、デジタルツールを活用した実践的なアプローチについて解説します。情報が分散している状況を解消し、自身のToDoリストをタスク管理のハブとして機能させる方法をご確認ください。
統合管理が難しい状況とその背景
多くの職務では、タスクが発生する情報源が複数存在します。例えば、
- 自身の考えや計画から生まれるタスク(個人のToDoリストやノートに記録)
- チームの目標やプロジェクトに関連するタスク(チームのプロジェクト管理ツールや共有ボードに記録)
- 会議での決定事項や割り当てられたタスク(会議議事録、メール、チャットに記録)
- 部下からの相談や依頼から派生するタスク(口頭、チャット、メールに記録)
- 突発的な問題対応から生まれるタスク(その場でのメモや一時的なリストに記録)
これらのタスク情報が、個人の手帳、Sticky Notes、Excel、様々なデジタルツール(タスク管理ツール、プロジェクト管理ツール、チャットツール、メールソフト)に分散していると、自身の全体のToDoリストが、網羅的で最新の状態を保つことが困難になります。これにより、タスクの漏れ、優先順位の混乱、そして結果としてタスク完了の遅延を招く可能性が高まります。
チームと個人タスクを統合的に管理する手順
タスク管理を効率化し、全体の可視性を高めるためには、チームタスクと個人タスクを自身の主要なToDo管理システムに統合することが有効です。以下にその具体的な手順をご紹介します。
ステップ1:現在のタスク発生源とツールを洗い出す
まず、現在どのような情報源からタスクが発生し、それぞれどのツールで記録・管理されているかをリストアップします。これにより、タスク情報の「通り道」と「保管場所」を明確にします。
- 例:
- 自身のアイデア・計画 → 個人のノート、タスク管理アプリ(例:Todoist)
- チームプロジェクト → プロジェクト管理ツール(例:Asana, Trello)、週次ミーティング議事録
- 会議での決定事項 → 共有ドキュメント、メール
- 部下からの相談/依頼 → チャットツール(例:Slack, Teams)、口頭
- 突発業務 → 紙のメモ、メール
ステップ2:自身の「メインToDoリスト」となる場所を決める
次に、洗い出した全てのタスク情報を集約し、自身が主に参照・管理する「メインToDoリスト」の場所を決定します。この場所は、自身の個人的なタスク管理ツールとして使い慣れており、かつ他のツールからの情報を取り込みやすいデジタルツールが適している場合が多くあります。様々な情報源からのタスクを一元管理することで、全体像の把握が容易になります。
- 推奨されるツールの特性:
- 柔軟なタスク追加・編集機能
- 期日設定、優先順位付け機能
- タスクの分類(プロジェクト、タグなど)機能
- 他のツールとの連携機能(可能な場合)
- 検索機能
ステップ3:チームタスクをメインToDoリストに取り込むワークフローを構築する
チームのプロジェクト管理ツールや共有されたタスクリストに存在する自身の担当タスクを、決定したメインToDoリストに取り込む仕組みを構築します。
- デジタルツール連携: 多くのタスク管理ツールは、他のツール(プロジェクト管理ツール、カレンダー、メールなど)との連携機能を提供しています。API連携やZapierなどの自動化ツールを活用し、チームタスクが自動的に自身のメインToDoリストに同期されるように設定することを検討します。
- 手動での定期的な入力: 自動連携が難しい場合や、連携機能が提供されていない場合は、チームのタスクリストを定期的に(例:日次、週次)確認し、自身の担当分をメインToDoリストに手動で入力します。この際、タスクの概要、期日、関連情報(リンクなど)を正確に転記します。確認と入力の時間をルーチンワークとして組み込みます。
- 共有機能の活用: チームが特定のタスク管理ツールを利用している場合、自身に割り当てられたタスクの通知をメインToDoツールに転送する、あるいは共有タスクへのリンクを自身のToDoとして登録するといった方法も考えられます。
ステップ4:多様な発生源からのタスクをメインToDoリストに集約する
会議での決定事項、部下からの相談、メール、チャットなど、他の情報源から発生したタスクも、速やかにメインToDoリストに登録します。
- 即時登録の習慣化: 会議中や相談を受けた直後、メールを確認した際など、タスクが発生したその場でメインToDoリストに登録することを習慣づけます。これにより、タスクの取りこぼしを防ぎます。
- 一時的な記録の活用: 突発的な口頭指示や、移動中などすぐにデジタルツールを開けない状況では、紙のメモやスマートフォンの簡易メモ機能に一時的に記録します。その後、落ち着いたタイミングで、これらの記録を見返し、メインToDoリストに正式なタスクとして転記します。この「一時的な記録からメインリストへの転記」もルーチンワークに組み込みます。
- タスク化しやすい表現で記録: どの情報源からのタスクであっても、「何を」「いつまでに」「どのような状態になったら完了か」を明確にするように意識してメインToDoリストに登録します。
ステップ5:統合したリストを基に優先順位付けと日次計画を行う
全てのタスクがメインToDoリストに集約されたら、この統合されたリスト全体を俯瞰し、自身の業務における真の優先順位を決定します。チーム全体の目標や納期、自身の個人的な重要度などを考慮してタスクを並べ替えます。
- 日次レビュー: 毎日の業務開始前や終了時に、統合リストを確認し、その日に取り組むべきタスクを特定します。会議や定例業務の時間を考慮に入れ、現実的に実行可能なタスク量を見積もり、日次の計画を立てます。
- 柔軟な計画調整: 予期せぬ中断や新たなタスク発生があった場合は、統合リスト上で優先順位を再評価し、計画を柔軟に調整します。どのタスクを遅らせるか、あるいは他の人に依頼できないかなどを検討します。
実践上のポイント
- ツールの選択は慎重に: メインToDoリストとして使用するツールは、ご自身のワークスタイルや必要な機能に合わせて慎重に選択してください。多機能すぎるツールよりも、シンプルで継続して使いやすいツールが適している場合もあります。
- 過剰な情報入力は避ける: タスクを登録する際、詳細すぎる情報を入力しすぎると登録自体が億劫になります。タスクを完了させるために最低限必要な情報(何を、いつまでに、簡単な補足)に留め、必要に応じて元の情報源(共有ドキュメントへのリンクなど)を参照する運用を心がけます。
- レビューを習慣化する: 統合したToDoリストは、定期的なレビューなくして機能しません。日次、週次、場合によっては月次でリスト全体を見直し、期限切れのタスク、不要になったタスク、新たなタスクの追加などを適切に行います。
まとめ
チームと個人のタスクを統合的に管理することは、タスクの漏れを防ぎ、自身の業務全体の可視性を高めるために非常に有効な手段です。複数の情報源からのタスクを自身のメインToDoリストに集約し、それを基に優先順位付けと日次計画を行うことで、中断が多い状況下でも自身の重要なタスクを確実に進め、チームの目標達成にも貢献できるようになります。
今回ご紹介した手順と実践ポイントをご参考に、ご自身のタスク管理システムを最適化し、ToDo完了への確実なナビゲーションを実現していただければ幸いです。