「実行」タスクと「管理・調整」タスクを両立させるToDoリスト運用術:異なる性質のタスクを効果的に管理する手順
多くの業務を抱える中で、自身の生産性を高めるためには、タスクを漏れなく管理し、確実な完了へ導くことが重要です。特に、自身の担当する「実行」タスクと、他者との連携や状況確認、判断を伴う「管理・調整」タスクが混在している場合、それぞれの性質に合わせた管理を行わないと、ToDoリストが煩雑になり、どちらかのタスクが滞ってしまうことがあります。
この記事では、「実行」タスクと「管理・調整」タスクという異なる性質を持つタスクをToDoリスト上で効果的に管理し、両立させるための具体的な手順と実践方法をご紹介いたします。
自身の「実行」タスクと「管理・調整」タスクを識別する
まず、自身のToDoリストに含まれるタスクを、「実行」タスクと「管理・調整」タスクに識別することから始めます。
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実行タスク: 自身が主体となり、具体的な作業を行い、明確な成果物や完了基準が存在するタスクです。 例:報告書を作成する、メールに返信する、スプレッドシートを更新する、プレゼン資料の〇ページを完成させる。 これらのタスクは、完了に向けて具体的な行動ステップを細分化し、時間を見積もりやすいという特徴があります。
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管理・調整タスク: 他者とのコミュニケーション、情報収集、状況確認、判断、承認、会議への参加など、自身の直接的な作業というより、人や情報、プロセスに関わるタスクです。明確な成果物ではなく、特定の状況や状態の確認、関係者間の合意形成などが完了基準となる場合があります。 例:部下との週次ミーティングを設定する、〇〇氏からの承認を得る、〇〇の進捗状況を確認する、定例会議に参加する、他部署への〇〇に関する問い合わせを送る。 これらのタスクは、予期せぬ中断や他者の状況に左右されやすく、自身の「実行」時間を計画しにくいという特徴があります。
これらのタスクの性質を意識することが、効果的なToDo管理の第一歩となります。
ToDoリスト上でのタスク分類と管理方法
識別したタスクをToDoリスト上でどのように分類し、管理していくかが次のステップです。ツールの機能を活用したり、リストの運用ルールを設けることで、管理の効率を高めることができます。
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タスクの分類方法を設定する 多くのToDoリストツールでは、タグ、カテゴリ、またはリスト機能を使用してタスクを分類できます。これらの機能を使って、「実行タスク」「管理・調整タスク」のように大まかに分類することも有効です。さらに細分化して、「チーム関連」「会議関連」「承認待ち」といった分類を追加することも考えられます。紙のリストを使用している場合は、リストを物理的に分けたり、タスク名の横に記号や色などで目印をつけたりする方法があります。
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タスクの性質に合わせた情報付与 それぞれのタスクに、完了のために必要な情報を追加します。
- 実行タスク: 必要な時間、完了基準、関連資料へのリンク、具体的な次の行動。
- 管理・調整タスク: 関係者、期日、確認すべき内容、完了基準(例:「〇〇氏からの承認完了」「情報収集完了」)、会議であれば議題や必要な資料。管理・調整タスクは、具体的な行動よりも「誰と何を合意するか」「何を確認するか」が重要になることが多いです。
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二つのタスクの連携を意識する 管理・調整タスクが完了することで、新たな実行タスクが発生したり、既存の実行タスクを進める上で管理・調整タスクが必要になったりします。例えば、「会議に参加する(管理・調整)」の結果として「〇〇の資料を作成する(実行)」が発生したり、「資料を作成する(実行)」途中で「〇〇氏に確認する(管理・調整)」が必要になったりします。 このようなタスク間の「流れ」を意識し、関連するタスクをToDoリスト上でリンクさせたり、サブタスクとして紐付けたりすることで、タスクの発生源と完了までの経路を明確に保つことができます。紙の場合は、タスク名の横に関連タスクの番号を記載するなど、参照しやすい工夫をします。
実践におけるポイント
- 完了基準を明確にする: 特に管理・調整タスクは、行動そのものより「状態の確認」が完了となることが多いため、「〇〇氏にメールを送信した」ではなく「〇〇氏からの返信を受け取った」「〇〇に関する合意形成ができた」のように、達成すべき状態を完了基準に設定することが重要です。
- 中断発生時の対応フロー: 会議や予期せぬ相談などでタスクが中断されることは日常的です。中断が発生した場合でも、中断されたタスクの内容と再開のために必要な情報(どこまで進んだか、次に何をすべきか)をすぐに記録し、ToDoリストの適切な箇所に一時的に待避させます。これにより、中断後のタスク再開をスムーズに行えます。この際、一時的なメモには紙のノートなどを素早く活用し、後でデジタルツールに集約・分類するというワークフローも有効です。
- 定期的なレビュー: 日次または週次でToDoリスト全体を見直し、実行タスクと管理・調整タスクのバランスが偏っていないか、重要な管理・調整タスクが見落とされていないかを確認します。これにより、自身の「実行」だけでなく、チーム全体の進捗や必要な連携が滞りなく進んでいるかを確認し、計画を調整することができます。
- ツール機能の活用: デジタルツールであれば、タスクの期日通知、繰り返しタスク設定(定例会議の準備など)、コメント機能による情報蓄積、他者とのタスク共有といった機能が、管理・調整タスクの運用に役立ちます。自身の業務内容と使いやすさに応じて、適切なツールを選択することが効率化につながります。
まとめ
自身の「実行」タスクと、他者との連携や状況確認を伴う「管理・調整」タスクは、それぞれ異なる性質を持っています。これらのタスクをToDoリスト上で意識的に分類し、性質に合わせた情報管理とアプローチを行うことで、タスクの混在による煩雑さを解消し、多岐にわたる業務をスムーズに進めることが可能になります。
また、管理・調整タスクから発生する実行タスクや、その逆の関連性をToDoリスト上で明確に保つことで、業務全体の流れを把握しやすくなります。中断が多い環境でも、タスクの分類と中断時の記録・再分類の習慣を身につけることで、タスクを見失うことなく、計画の軌道修正を行いやすくなります。
この記事でご紹介した手順とポイントが、皆様のToDoリスト運用において、異なる性質のタスクを効果的に管理し、着実な完了へ繋げるための一助となれば幸いです。